この乗船記はコロナ禍でクルーズ船が、まるで諸悪の元凶の様に、目の敵にされる以前に乗った時のことを記した過去の旅日記です。
コロナ禍で世界中で運行を停止していたクルーズ船ですが、対策の進んだ国から徐々にではありますが運行が再開されているようで何よりです。当時、船内でお世話になった船員さん達は、果たしてコロナの荒波を無事にくぐり抜けられたのか?
いつの日か、もう一度船に乗って確認したいと思っていますが、ホントいつになることやら…(遠い目)。
さて私が乗った船はアメリカのクルーズ会社「ロイヤル・カリビアン・インターナショナル」の世界最大級の客船「ハーモニー・オブ・ザ・シーズ」です。(下の写真は寄港地のプエルトリコで撮影)
クルーズと聞くとお高いイメージがありますが、このクルーズ会社は”カジュアルクルーズ”と呼ばれる手頃な価格で楽しめるのがウリです。しかも1人客の場合、無駄に広い部屋を使わずにコンパクトな部屋で値段を抑えられる船室もあるので、想像していた金額よりはリーズナブルに楽しめます。
おひとり様なら一番狭い部屋で十分ですが、当初は一週間滞在するのだから、少しぐらい広い部屋にしようと思っていました。
候補となったのがこちらの「スタンダード(内側)」です。クイーンorキングのダブルベッドにソファもあります。日本の格安ビジネスホテルよりも広く、部屋面積は14.9㎡あります。
しかしこの部屋は内側にあるため外を眺めることができません。そんな時に役立つのが下のリモコンです(白と黒のリモコン)。
内側の部屋ですが、「バーチャル バルコニー」なるものがあり、カーテンを開けると壁面に外の風景がリアルタイムで映し出されています。


日中は船内のパブリックスペースを活用し、部屋は寝るために戻るだけといったクルーズスタイルの場合は、このようなインサイドの部屋は値段も安く狙い目だと思います。実際にこのタイプの部屋に泊まっている方に話を聞くと、既に何度もクルーズを楽しんでいる方々ばかりで、「部屋はただ単に寝るだけのスペースだ」と断言していました。
でも当方は初めてのクルーズですし、やっぱり映像を通してではなく、この目で直接、外の風景を見たいので初志貫徹で狭いながらも窓のある「ステュディオ(海側)」の部屋を選ぶことにしました。
ステュディオ海側
フロア図(避難経路図)
私の泊まった部屋があるのは何層にも重なる船内でも下の方にあたるデッキ5階の一角です。
扉まわり
機能的なビジネスホテルといった感じのドアです
空調のコントロールパネルは実にシンプルです 温度表示すらありませんが体感でわかるので不要でしょう
こちらが「ステュディオ(海側)」の船室です。客室収容人数は1名まで。
部屋の面積は日本の極小ビジネスホテルよりも狭く8.9㎡と窮屈ですが、窓があるので開放感があります。
サイドボードにはコンセントも備わっているので、寝ながらスマホいじりもできます。
丸窓が船らしくて雰囲気が良いですね。写真だと大きささが分かりにくいですが、とても大きな窓です。
船体の厚み分だけ窓が奥まっているので、まるで出窓に腰掛けるような感じで窓辺に座ることも可能です
テレビ
SAMSUNG製の壁掛け式。


机まわり
机は省スペース化が図られていて、角を落とした半円形をしています。
天板の面積は狭いです。そこに案内書やらなにやらが広がっているので使い始める前に片付けが必要です。ちなみに広い机が必要にな場合は船内のパブリックスペースには、いくらでも机があるので、そこを使えばよいだけの話です。
机の正面にはコンセントも多数あり、様々なデバイスの同時充電も可能でした。
ルームサービスと朝食メニューです
これが部屋のカードキーです。船内での精算や乗下船時のセキュリティもこれが必要となるので紛失しないように注意が必要です。
クローゼット
1週間の船旅ですからハンガーの数はこれぐらいは必要でしょうね。
セーフティボックス 衣装棚
スーツケースを広げておけるような床面積が無いため、衣類などはこの棚に収納し、スーツケースはベッドと壁の隙間にねじ込んでおきます。
乗船手続きが終われば、途中の寄港地における乗下船時でもパスポートは不要なので、セーフティボックスに保管しておきます。
冷蔵庫
庫内は空っぽです。扉にテンキーのようなものがありますが、ここにミニバーが設置されていた時の名残でしょうか?


客室が狭いだけに収納は充実しています。枕上の部分には普段はそんなに使わないものをしまっておきます。下船時は忘れ物が無いように十分注意が必要です。
水回り
バスタブは無くてシャワーブースのみです。省スペースが考えられた個室寝台車にあるような円形のシャワーブースです。
でもシャワーブースの奥側は通常の四角形だったので狭くて不自由なことはありませんでした。まあ身体の大きなアメリカ人の利用も考えてのことでしょうから、日本人なら余裕のサイズです。
タオルとソープディッシュ シャンプー類はディスペンサー式


洗面台
省スペースで奥行きが無く、口をすすぐときなどに頭を鏡にぶつけそうになります。とは言え、味気ないユニットバスではなく、タイルを貼るなどして少しでも上質な空間にしようとする意気込みが感じられます。
お手洗い
フラッシュボタンがやたら大きい
お昼です、ゴハンですよ。でもまだ船内にある全レストランがオープンしているわけではありません。出港前にオープンしているのは上層階のデッキ16階にあるビュッフェレストランの「Windjammer Marketplace(ウィンジャマー)」です。
入店時はコロナ以前のことでしたが消毒が徹底されています。船客は必ず洗面所で手を洗うような造りになっています。そしてあちこちに消毒液が設置されていました。
店内は大変広いので席が見当たらずに右往左往するような心配はありませんでした。食事はビュッフェ形式なので好きなものを好きなだけいただきますが、これから始まる”飽食の日々”を考えると控えめにしておいたほうが良さそうです。今から飛ばしすぎると胃薬のお世話になってしまいそうです。


食後は船内の散策に出かけます。モニターには船の情報が映し出されていて、その前には船の模型が展示されていました。こういう模型は大好きなのでしばし観察します。


エレベーターホールの横から下を覗き込んだ図
とても船の中とは思えないスケール感。こうしたエレベーターが船内の前後にあります。搬器の数は十分にありますが、ディナータイムなど一度に大勢の人が動く時間帯はエレベーター待ちが発生します。階段を使った上り下りができない感じの巨漢の方にエレベーターは譲って、自分は運動がてらエレベーターのすぐ近くにある階段を使って上り下りしていました。他の乗客も混雑時は階段利用が当たり前って感じでした。
15階のデッキに出てみました。
ボードウォークを望む部屋は窓外が賑やかそうです。
デッキ14階の左舷前方には床がガラス張りになっている箇所がありました。高所恐怖症の方は厳しいかもしれません。
デッキ15階後方の「Harmony Dunes」で早速アクティビティを楽しむ家族連れの姿。 船に乗ったら”よく食べ よく遊ぶ”。それがカジュアルクルーズの楽しみ方なのかもしれません。
デッキ15階にある「Whirl Pool(展望ジャグジー)」にも早速利用者がいました。既に何度もこの船に乗船したことがある人は、混雑する時間や乗船客の行動パターンを熟知しているようで、「空いているうちに楽しんでおこう」と言った感じでしょうか。
前方に停泊しているのはクジラの尾の形をしたファンネル(煙突)が目印の「カーニバルクルーズライン」の船です。
いよいよ出港です。静かだったデッキがいつの間にか人々で溢れかえります。みなさん早速アルコールを片手に盛り上がっています。
手をふる船客に、ビーチの海水浴客や港沿いのマンションの住人が手を振り返してくれます。


デッキ14階と15階の最前部にある「Solarium(ソラリウム)」からですと、まるで操舵室にいるかのような風景を楽しむことができます。
フォート・ローダーデールの街が次第に遠ざかっていきます。船が出航する時は、どこか悲しい気持ちがつきものですが、この船に関しては皆無です、ゼロです。
沖合に出ると次第に雲行きが怪しくなってきました。
屋外のエリアには人の気配がありません。皆さん早速船内で飲んだくれているのでしょうか?


その後スコールに見舞われました。ボードウォークから屋根の下に吹き込んだ雨水を清掃スタッフが大勢で拭いていました。床が滑りやすく危険だからでしょうか?とにかく船内の清掃状況はディズニーランド並に徹底されている印象でした。
晩御飯の時間となったので「Main Dining Room(メインダイニングルーム)」に向かいます。デッキ3階からデッキ5階にかけての3層吹き抜けを中心にした巨大レストランで、船内で最も大きなレストランです。シャンデリアの下に位置する円卓は早い段階でお得意さんらによってリザーブされているようです。この船で再会するようなクルーズ客同士でテーブルを囲み食事を楽しむようです。


本日のメインはローストビーフでした。しかしメインにたどり着く前で既にお腹いっぱい状態なところに、このボリュームです。大食漢の方にはクルーズは楽しいことでしょう。


2日目
本日は終日洋上です。時差ボケもあって朝早くに目が覚めてしまったので船内を朝散歩です。デッキ5階の「Royal Promenade(ロイヤルプロムナード)」から天井のガラスドーム越しに、白味始めた空を仰ぎ見ます。
基本的に船内の朝は遅い印象です。乗客の多くは酒を飲み夜遅くまで楽しむ人が多いため、船内生活は基本的には夜型といった感じでしょうか。
昨夜は遅くまで喧騒の渦にあった「ロイヤルプロムナード」には誰ひとりおらず、まるで幽霊船のようです。


広い船を独り占めしているかのような不思議な雰囲気でした。


小腹が空いたので24時間営業の「Cafe Promenade(カフェ プロムナード)」でドーナツをいただきました。
食後は15階のデッキに上がってみました。セントラルパークもデッキも人の姿はまばらです。皆さんまだ船室で寝ているのでしょうね。それにしても洋上を駆け抜ける潮風が実に気持ち良いです。こういう時、船に乗って良かったなあと実感します。


朝方までは曇り空でしたが日が昇るにつれて青空が戻ってきました。今日は終日洋上ということもあってデッキ15階にあるプールは大賑わいです。
ボードウォークにあるホットドック店も行列です。
2日目の晩はフォーマルナイトです。夕方になると船内各所で着飾った人々がプロのカメラマンによる撮影会に列をなしていました。


中でも人気なのが船長と一緒に写してもらえるところでしょう。撮影時に自分の部屋のカードキーを提示することで、後に写真の注文がしやすくなります。
こうして撮影したデータはすべてデッキ6階にあるフォトショップの「Focus(フォーカス)」で購入できます。この時に自分の部屋のカードキーをPC横にタッチすれば、自分が写っている写真が一覧表示されて、その中から欲しい写真を選択すればよいだけになっています。
デッキ5階にある上下に動く「Rising Tide Bar(ライジングタイドバー)」など、各自が各所で思い思いに2日目の夜を過ごしています。
自分は酒が苦手なのでデッキ5階にあるピザレストラン「Sorrentos(ソレントス)」にてピザとジュースを飲んで夜を過ごします。青色の照明が料理の見た目を不味くしています。
ピザは喉が乾きます。部屋に戻って氷水をがぶ飲みしてから寝ました。


明日は最初の寄港地です。
3日目・4日目に続く